はみ出し小話―占い①

2018/09/02の日曜日のことでした。

その日は、特に何の予定もなかったのですが、翌々日に採用面接が控えており、さらに、翌日には卒業論文のための先生との打ち合わせがあるのでその資料作りにも追われていました。

 

けれども、体はどうにもだるく、まだ内定がもらえていないということで精神的にも随分弱っちゃって何にも手がつかない状態でした。

 

好きな映画を見たいと思っても、「就職活動が落ち着くまではむやみに見ない」と決めていたので、(『カサブランカ』は見てしまいましたが…)映画を見るわけにもいきませんでした。

 

何にもしないまま時間を過ごすのが嫌で、ひとまず自室を出てリビングに行きました。テーブルにあった新聞を見てそれを読むことにしました。

 

私は習慣的に新聞を読んでおり、気に入った記事はノートに張り付けています。そんな感じで何か面白い記事はないかと新聞を開いた時でした。

 

大きく載せられたテレビ欄の下にある「占い」が目に入ったのです。いわゆる誕生月占いで、今日の一言と健康・金運・異性・仕事の項目ごとに◎か○か△がうたれています。

 

自分の誕生月を見ると、そこには

「自分の聖地といえるような場所に行って感無量になる」の文がありました。

さらに、右に視線をずらすと

健康・金運・異性・仕事のすべてが◎だったのです。

 

私はそれなりに数多く新聞の占いを見てきましたが、こんなのは初めてです。

「特別いい日」だなんてその時の自分の状態からするととても実感がわきませんでしたが、その言葉に心が救われた気がしました。

 

そうだ、「聖地」に行ってみよう。

そんなわけで、町の図書館に行ってみることにしました。

 

本来であれば私の考える聖地というのは、アメリカだとかイギリスになるんですが、そんな場所に行ける時間もお金も余裕もなかったので、身近にある聖地といえば町の図書館でした。

 

自分の好きな本もたくさん置いてあるし、何より私が好きな昔の名作のDVDたちがずらりと並んでいるのです。もしかすると、私好みの作品が待っているのかもしれない。そう思って、図書館へと出かけていきました。